サケの保全活動における目標と方針

Photo courtesy of WSC staff
ステイト・オブ・ザ・サーモンは、絶えず進化し続ける「サケ保全活動のための目標と方針」を作成しました。これは、野生サケ類を繁栄させていくために必要な管理目標を定義した生きた手引書です。
現在、野生サケ類は生息数が激減し、まさに絶滅の危機にあります。また最も健全な野生サケの生態系までもが、かつてない危機に瀕しています。このような状況のなか、環太平洋の各地域が必要とする、具体的な保全管理のアプローチはそれぞれ異なるものの、得られる結果はみな同じでなければなりません。この目標と方針は、環太平洋全域における取り組みの指針となる、一連の保全対策と一貫した評価基準に方向性を打ち出しています。
ステイト・オブ・ザ・サーモンは、漁業における管理手法や取り組みの有効性を評価するにあたって不可欠な測定基準を確立するために、新たな漁業保全科学に基づいて「目標と方針」を継続的に改善していきます。
当プログラムでは、皆様の参加をお待ちしています。ご意見、ご感想はへお送りください。
方針(案)
方針(案)の策定に用いた参考文献は、こちらからご覧ください。
目標1:野生サケ類の生息数と多様性の改善に向けた管理を行い、生態系の健全性を維持すること
太平洋サケ類の健全性を確保していくためには、次の方針に従って管理目標を達成する必要があります。
- 生物学的関連性を持つ保全単位を指定し、管理目的の設定過程をオープンかつ透明性の高いものにすること
- 有効な生物学的かつ生態学的目標河川遡上数を定めるため、上記の保全単位でサケのモニタリングを行うこと
- 種別の生息数状況を定期的に評価すること
- 慢性的な河川遡上数減少を解決するための、効果的な管理措置を明示したプロトコールを維持すること
- 孵化放流事業の強化資源による生息数への貢献、個体群の識別、個体群の現状などに関する不確実性を認識しつつ、最低限の収獲数を管理すること(ターミナル漁業への転換)
- 孵化場・養殖場禁止地帯を設けたり、ベストプラクティスに基づいた管理を義務付けるなど、時間的または空間的な手法を取ることにより、養殖サケの影響から野生サケを保護すること
- 孵化場由来魚類が野生サケと海の成育環境に与える影響を把握すること
- 管理・運営上の意思決定を行うために、確実かつ一貫した生物学データを現場から収集する情報システムを確立すること
- 諸機関が管理の有効性を評価し、課題に応じた対応ができるよう、成果の評価体系を画一化すること
目標2:健全な野生サケ資源群と生態系プロセスを維持するために、十分な生息地を保護し復興すること
野生サケの生息地を十分に確保するという目標を達成するためには、次の方針が必要です。
- 北太平洋の各生態系区分において、最も重要な野生サケ類の生息地を見極め、優先順位をつけること
- 多岐にわたる自然生育地域における生態系の機能を支援し、維持すること
- 各河川においてサケ類の最重要産卵域と生育域を保護すること
- 水や木、養分、堆積物などを細流に送り出し、水生生息地を支援する自然の生態学的過程の健全性を確保すること
- 海における幼稚魚の重要な生育区域と回遊区域を保護するため、漁業や他の商業目的に対し、海上保護区域や閉鎖時期・区間などいくつかの海上進入禁止区域を設けること
- 生物相、地形、流量の長期的な変化を最小限に抑えるため、ベストプラクティスに基づいた天然資源抽出を義務付けること
目標3:野生サケとその生態系を長期的に援護する機構、市場、人間社会を築くこと
この管理目標を達成するためには、次の方針が必要です。
- 土地管理局および部族機関が、当方針を実施するために必要な情報、人員、予算を十分に確保していること
- サケと生息地を保護するにあたって、現地および地域のNGOが、長期的な管理・監視機関としての権限と能力を保持していること
- 当方針の実施に向けた進捗状況を定期的に確認するという責務を機関や団体に課すこと
- サケと生息地の保護に対して経済的インセンティブを提供する野生サケの市場を促進すること
- 地域社会がサケの生態系について学ぶことのできるプログラムを支援すること
- サケが生息する河川の生態系の価値と、サケと共存する地域社会が果たす重要な役割について、社会の認識を高めること
